2011年4月 平成23年度入学式

2011年4月4日(月)14:30~ 
理工学部電気電子情報通信工学科新入生:142名
理工学研究科電気電子情報通信工学専攻博士課程前期課程新入生:46名
今年度は東日本大震災の影響により、例年開催されていた理工学部入学式は中止となり、各学科別の入学式が開催されました。

 平成23年度『入学式』が開催されました

日時:2011年4月4日(月)14:30~
会場:中央大学理工学部校舎5号館 5333号室 

             式次第

    1.開式
    2.学科主任挨拶
    3.来賓祝辞(菱沼様)
      4.教員紹介
    5.クラス担任紹介
    6.学習指導委員
    7.閉式

 

DSC_0020.JPG開式に先立って行われた東日本大震災の犠牲者に捧げる黙祷


DSC_0024.JPG小林一哉学科主任教授挨拶


DSC_0030.JPG菱沼一夫同窓会長による来賓挨拶


DSC_0052.JPG期待と緊張の新入生たち


DSC_0049.JPG来賓として参加した同窓会役員

 

2011年度(平成23年度)入学式挨拶

「 激 励 と 期 待 」

私は同窓会会長を仰せつかっている1960年入学、(48年前の)1964年卒業の菱沼 一夫です。
「東日本大震災」で被災された各位に改めてお見舞いを申し上げます。
ようこそ中央大学理工学部電気電子情報通信工学科にいらっしゃいました。
皆さんとご父兄各位に本科への入学を同窓会を代表して歓迎申し上げます。

我が電気工学科は創立62年の歴史を持っています。既に9660名余りの卒業生がいます。
同窓会は昭和28年(1953年)卒業の第1回の卒業生が初代の会員で既に58年の歴史があり、現在2000名弱の方々が会員登録をして活動しています。

今、皆さんの頭の中は受験勉強に明け暮れした日々がよぎっているかも知れません。
私は幾つかの初歩的な質問を皆さんにしてみたいと思います。
(1)どうして大学に進学したのですか?
(2)どうして中央大学を選んだのですか?
(3)どうして理工学部の電気電子情報通信工学科を選んだのですか?
(4)あなたはこれからの4年間で何をしますか?
多くの卒業生はここで学んだことや体験したことを彼らのDNAレベルにしっかりと捉え社会で活躍したり、既に第一線を引退した人たちは彼らのなしえなかった数々をあなた達が発展してくれることを期待しています。 私もその代表的な一人です。

3月11日の未曽有の「東日本大震災」は大地震、大津波そして原子力発電所の損壊が起こっています。 原子力発電所の問題は天災とは言い難いものです。人のなせる業によって、10市町村の約22万人の人達の健康と生活の不安を与えているとともに農業、漁業の損害を付加している。
福島第一発電所の6基の原子炉の総出力は470万kwであります。
核分裂反応停止直後の炉内温度は140℃程度になっている。そして燃料棒は未だ10%程度(約50万kw)の発熱を継続するからこれを一気に100℃以下に冷却する必要がある。10℃の水を使ったとしても23/s =[500×106/(90/4.2)]と言う膨大な冷却水源を必要とする。
基幹の「圧力容器」と「格納容器」は今度の大地震でも壊れず予定の非常停止が行われたが冷却工程に移行した後に大津波で冷却用のバックアップ電源が喪失して大事故に至っている。
                                                                                     (想定研究2009年;4/4;読売新聞朝刊)

原子炉本体に異常が起こらなかったのは(筆者推定)40数年前の科学と技術の正当性が証明されたことは不幸中の幸いであった。しかし、バックアップシーケンスの脆弱性で制御不能になったことは重ね重ね残念である。3kmの間近な福島第二原発は正常であったのに、どうして出力が小さい方の第一では制御しきれなかったのか? 当時(1965年頃)の設計担当者はM9の地震や航空機事故の懸念を上申したが「1000年に一度あるかないかの条件(論拠不明)を採用するのか?」と一笑に付された経過がある。(3/23;東京新聞;朝刊) 又、2006年3月1日の衆議院予算委員会で今回の事故を想定した危機の質疑が行われている。(3/26掲載;東洋経済オンライン)40数年の近代産業の進展の中で「社会科学論」と「自然科学論」の不調和が根源にあったと言えよう。少なくとも、科学/技術と経営、行政の失策であることは否めない。空しい事故です。(図参照)

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この間、中大電気の卒業生の多くの方も直接/間接に電力産業に関係してきている。今日の電力関係の非常事態は率直に我々の世代(60-70歳)の活動の非と私は認識する。
新入生諸君に期待したいこと。自然の驚異を理解し、短期的な経済の発展と生活の豊かさ(便利さ)の追求のリスクを常に念頭に置いて、諸君の抱いている将来を検証して戴きたい。 そしてその検証に基づいて、今日からその勉学に取り組んで戴きたい。そしてあなたの孫の時代(40-50年後)の社会が健全であるような貢献をして戴きたい。 卒業後は是非同窓会の仲間になって連帯してください。 よろしくお願いします。

                       2011年4月4日 同窓会長 菱沼 一夫