2000年4月 平成12年度入学式

2000年4月2日(日)             新入生:167名

平成12年度『入学式』が開催されました

2000年4月2日(日)
理工学部の入学式がアリーナで開催されました。
学部の式後、会場を移して電気電子情報通信工学科の入学式が行われた。
 
本年度の新入生は、Ⅰ部のみで167名でした。

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来賓祝辞を述べる同窓会 菱沼副会長

 同窓会 菱沼副会長の祝辞

 皆さん入学おめでとうございます。ご父母の各位は一安心と存じます。本来なら会長の天野がご挨拶申し上げるところですが、丁度お嬢様の結婚式と重なってしまいました。副会長の私から同窓会を代表して皆さんを激励させて戴きます。
 さて、新入生の皆さん、大学に来た目的はなんですか?
 どうして中央大学を選んだのですか?
 更に理工学部電気電子情報通信工学科を何故選択したのですか?
 受験勉強に疲れていますか?
 大学にやって来たのは、“良い会社”に就職するためですか?
 私たちは、小学校、中学校で国民として一人前の行動(義務)ができるように全員が勉強しています。そして、一人一人が個性を発展させ、より豊かな生活ができるように高校そして大学で研鑚ををします。そして社会に貢献することも期待されていると言えましょう。
 私は、40年余り企業社会で過ごしてきて、大学で学んで来た人達の多くの行動を見てきて、最近の大学生のあり方を心配しています。それは大学に来る人の心構えに問題があると思います。
 皆さん、大学は就職の斡旋機関ではありません。研究・学究の場です。
 皆さんの大学での学究の成果を社会が求めて来ると言う姿が普通なのではないでしょうか?
 つい最近の3月25日に通産省が全国33万社の企業を対象にした大規模な「総合的人材ニーズ調査」を発表しました。この調査によれば、8万8000社からの回答で、267万人の人材需要があることが示されています。ハローワークに登録している求人数の121万人を遥かに超えています。
 通産大臣は、求職者と求人要求にミスマッチがあるとコメントしています。
 労働省もこの調査結果を受けて、問題意識を明確にした見解が今朝のテレビで報道されていました。
 新入生の皆さん! 今なら未だ間に合います。
 大学に入って何をすべきか? 何を得意とするかを直ぐに考えてみましょう。
 貴方の論文をどんどん発表して、貴方の卒論を“買ってくれる”会社が貴方を訪ねてくれるような研究をやろうじゃあないですか。皆さんは21世紀を支える中心的存在です。
 一生の仕事の見つけ方のアドバイスをしましょう。
 今、世界中は“IT”(Information Technology)に浮かれています。3年後に世界の商取引の20%はITを利用した電子商取引(e-commerce)に移行すると電気通信審議会は報告しています。別の報告によれば2003年の電子商取引額は、日本/72兆円、アメリカ/190兆円と推定されています。
 “IT”は、国際取引:“International Trading”になりつつあります。確かに安くなったコンピュータを駆使した情報処理はその正確さとスピードは驚嘆に値します。しかし所詮ツールであることをしっかり理解しましょう。この結果、取引のスピードも格段と早くなり、コストの合理化も図られて、安く物が作れるようになるでしょう。安く作れるようになるのは、人手の省力化、ストックの極小化等の“ムダ”、“ムラ”の排除です。ITの発展は一層、雇用の特殊化を推進するでしょう。
 人間社会で「これが無かったら困るもの」を率直に考えてみてください。
 それは何でしょうか?
 それは先ず、“食物”、“医療・医薬”そして“エネルギー源”の生産です。
 金額の大きいものが基幹産業ですか? 違います! “食物”、“医療・医薬”そして“エネルギー源”の生産こそが「基幹産業」なのです。
今日の私たちは、好きなものが、何時でも、欲しいだけ容易に手に入りますが、この食べ物の日本の自給率は30~40%です。殆どの先進国は100%以上の生産機能が有って、輸出さえ行っています。日本のエネルギー源に至っては、100%輸入に頼っています。
 21世紀には、世界の人口は70億人を超える《人口爆発》が起こるといわれています。食料は自然食品です。耕作面積の相対的減少が地球環境の破壊や局地的な紛争や民族対立の要因になっていると思われます。これがもっと顕在化して、皆さんが社会を支える頃には“食物戦争”が始まっているかも知れませんよ。
 さあ、限定された《状況》の中に存在する我々はどうすべきか?
 先ず社会を席巻している“キーボード”は《道具》であることを認識しましょう。
 キーボードだけで作った論文や卒論は“ダメ”です。自分の《五感》で勉強・研究をして下さい。
 電気・電子工学の《基幹科目》の電気磁気学、回路理論を先ずしっかり習得して下さい。特に“アナログ回路”のエキスパートになって下さい。そして“量子力学論”の概念を習得して欲しいと思います。たったのこれだけを本当に習得したら、芸術家が人の「行き様」を見るように、工学の“世界”が見えてくる筈です。
 同窓会は、単に同窓会員を集めることに留まらず同窓生の生涯のコミュニケーションの場創りを目指しています。卒業の暁には、是非入会をして戴きたいと思っています。又、同窓会は在校生への援助も活動の一環としています。
 同窓会の活動は、電気電子情報通信工学科のHPでも紹介しています。お手隙の時に覗いて見て下さい。
 ご清聴ありがとうございました。